69 sixty nine
19歳の頃、僕は完全に引きこもりだった。毎日好きな音楽を聴きながらPCにかじりつき、ダラダラと過ごしていた。
唯一の遊び相手は同じく引きこもりの家猫。時間を共有し過ぎていたせいか異常に懐いてくれた。かなり仲良しでいつも行動を共にしていた。(と、言っても行動範囲は家の中だけだけど...)
平日の昼間、ヤクルトのおばさんが家に試供品を持って訪問することが度々あり、祖母と一緒にどれがいいかねえと選んでいたが「こいつ常に居るし、平日のこんな時間から何やってんだよ」とヤクルトのおばさんに思われていたに違いない。
一見悩みなんて何もなさそうに見えるが、夜中寝ようと布団に入ると何故か苦しくなり、頭の中で将来の不安がぐるぐると駆け巡りすすり泣き出すとうう少々病んだ気持ち悪い男になっていた。
その当時、「69 sixty nine」を読んだ。
村上龍の若かりし頃を元にした自伝青春小説。
男子高校生達が仲間と学校をバリケード封鎖したりフェスティバルを企画したりなど、村上龍の実体験が盛り込まれている。
1969年の空気やエネルギーが頭にどんどん伝わってくる。これは実際にこの時代を生きてきたからこそ出せるものなのだろうか。
自分も高校生の頃はエネルギーに溢れていたが、こんな青春生活を送ってみたかったと思った。羨ましい。
後書きの一文「楽しんで生きないのは罪なことだ。」がこの本のテーマだと感じた。明日が見えてくる。
この一文でこれからも生きていこう。